MyPocket バックナンバー

vol.1

「ポケットの中」

子どものポケットからは何でも出てくる。
チョコレートの包み紙。せんべいの個装袋。
どんぐり。葉っぱ。
一円玉。ピン留め。
じゃりじゃりの砂。
ポケットティッシュは、ポケットが居場所なのだろうけれど、
ティッシュがビニールから飛び出して、
こすれて、けば立っている。

ポケットをひっくり返して、
「なんで、なんでもかんでも入れとくの?」と
子どもに聞くと、
「知らない」と答える。
ポケットは、子どもの手からなんでもかんでも
飲み込んでしまう。

ポケットの中に宇宙が広がっているのは、
ドラえもんの四次元ポケットだけじゃない。

ポケットという会社と、
『嘘八百』という映画を作った。
代表の大木さんは、コワモテだけどロマンティスト。
なにせ自分の会社に「ポケット」なんて
名前をつけちゃう人だから。
お酒は飲めないけれど、甘いものはイケる。
ロケ地を求めて堺市内を回り、
回転寿司屋を見ようかという話になったとき、
「いいですねー回転寿司。行ったことないんですよ」
と言うので、のけぞった。

『嘘八百』は、さびついた腕を奮い立たせて
幻の利休の茶碗をでっち上げ、
一発逆転、一攫千金をもくろむ男二人の話。
「茶碗は口こそ小さいですけど、
中に大海原を描くように作りなさいと教わりました」
取材で会った堺の陶芸家さんの言葉から、
利休の茶碗に大海原のイメージを重ねた。

茶碗の中には、大海原が広がっている。
ポケットの中には、宇宙が広がっている。

そのポケットから、次は何を出しますか。

今井雅子